目次
Koroipita(コロイピタ)ってどんなコミュニティ?
1.Koroipita(コロイピタ)とは
フィジー第2の都市ラウトカ郊外に建設された低所得者向けのコミュニティ。
1985年に発生した大きなサイクロンにより、何千人もの人が家を失ったことから「丈夫で安全な家、きれいな水、生活必需品を提供する」といった目的を持ち、オーストラリア人 Peter Drysdale氏によって設立、開設されたコミュニティです。
Model Towns Charitable Trustとして運営され、フィジー政府やニュージーランド政府、ヨーロッパ連合などの国や多くの人が寄付・援助をし、成り立っています。
2.どんな人が住んでるの?
主にシングルマザーや何らかの理由でホームレスになってしまった方々をメインに受け入れを行っています。
平家型の一軒家と家庭菜園ができる程の庭もついて家賃は週に約9FJD(約550円)。
住民は入居時に「Occupation License」という規約に署名をし、コミュニティのルールに従って生活をします。
フィジー人やインド人だけでなく、ポリネシア人などのさまざまな人種の人々が共存して生活をし、現在も入居を待っている方々がたくさんいるため、日々ボランティアなどを募って家の建設を行っているそうです。
家は約2週間で22軒を建てることができ、サイクロンにも耐えられるような丈夫な作りになっています。
3.コロイピタの取り組み
コロイピタは「低所得者向け住宅提供プロジェクト」として住民に住居だけでなく、仕事や教育の場も提供しています。
子どもが卒業するまでの間に親も自立ができるように、共同生活を通して生活能力も学びます。
その他にも80ブロックに分かれた各地区に無償でコンポストを提供、家庭菜園用に花の種を提供・栽培方法の指導など、さまざまな取り組みを住民に対して行っているそうです。
人に優しいコミュニティ
1.助け合いながらの共同生活
入居時に署名をする「Occupation License」には、コミュニティ内のルールを守ることやコミュニティの一員として責務を果たすこと、住民同士で助け合いながら共同生活をすることなどが記載されています。
80ブロックに分かれた各地区から選ばれた代表者を中心にコミュニティ全体で共同生活を行っているコミュニティです。
普段の生活を通しても社会生活や生活能力について近所の人から学ぶことができる環境が整っています。
ケレケレなどの助け合いや共有するという文化があるフィジーにはこの仕組みが最適かもしれません。
2.子どもたちのそばで安心して働ける環境
シングルマザーのお母さんたちには仕事の場も提供されています。
いらなくなった布を再利用してハンドメイドのバックを作成・販売し、売り上げを収入として受け取ることができます。
仕事場もコミュニティ内の施設で行うため、子どもたちのそばから離れることなく安心して仕事を行うことも可能です。
その他にも花の種が提供され、各家庭で家庭菜園を行えるように指導、できた野菜や花はコミュニティ内のマーケットで販売できるような環境も整えられています。
3.コミュニティ内で全てが完結
広い敷地内には住居だけでなく、幼稚園や図書室、パソコンができるコンピューター室や小さな病院、店、市内へいくことができるバス停までも備えられています。
住民はコミュニティの外に出る必要もなく、子どもたちの世話と仕事をしながら安心して生活をすることが可能です。
その他にもテニスコートやラグビーができる広場もあり、夜暗くなった時のためにソーラーパネルつきの街灯で夜でも娯楽を楽しむことができます。
地球に優しいコミュニティ
1.家庭用コンポストの無償提供
ラウトカの自治体により、各ブロックに1つずつ家庭用のコンポストが無償で提供されています。
コンポストとは各家庭で出た生ゴミをコンポストに入れ、微生物の力で分解し堆肥(Compost)にすることです。
生ゴミの排出が減るということに加えて、堆肥として栄養を持った土を利用して各家庭で野菜や花を育てることができ、収穫した野菜はコミュニティ内の店で販売してお金にしたり自給自足にもつながるという、コンポスト設置により地球環境と人にも優しい環境が成り立っています。
2.生活排水も有効利用
シャワーで使用した水や食器を洗うために使用した水などの生活排水はまとめて外に流れ、家の外に設置された機械によって水をリサイクルできるような仕組みが整っています。
きれいになった水はそのまま家庭菜園で育てられている野菜や花に自動的に流れていくため、植物に水をあげる必要もなく各家庭内でも環境に優しい循環が起きています。
その他にも無償でソーラーパネルが設置されているため、家庭で使用する電気も節約され住民にも優しい環境が整っています。
3.ゴミの排出量は世界平均の10分の1
さまざまな人や国からの援助、ボランティアによる協力、住民の努力によりコロイピタのゴミの排出量はなんと世界平均の10分の1とされています。
生活をしながら決められたルールを守ることで生活の向上にも繋がり、仕組みも担保されるという、自然と3R(Recycle,Reuse,Reduce)が確立する環境が整っているのです。
コロイピタでは蜂蜜も作られており、ミツバチをはじめとする昆虫や植物にも優しい環境も整っています。
住民は自然が溢れる中で地球に優しい生活をすることが可能です。
【SDGs】地球にも人にも優しい居場所がフィジーにはあります
今回実際にコロイピタを訪問しましたが、現在でも家の建設は続いており、入居を持っている方がまだたくさんいるということを知りました。
建設にはオーストラリアの学生など国内外からたくさんの方がボランティアとして訪れているという話も聞き、さまざまな人によって成り立っているコミュニティだということを肌で感じることができました。
この訪問を通して、SDGs(持続可能な開発目標)の11「住み続けられるまちづくりを」という項目が当てはまるのではないかと思います。
この活動をもっと多くの人に知ってもらいたく、またこの想いをこれから先の未来へ受け継いでいってほしいなと強く思いました。
参考:
file:///Users/abehana/Downloads/4-Konosu%20(3).pdf
https://modeltowns.org/